AEVE ENDING
「保健医はただの隠れ蓑で、本職は実は理事長なんですって言えば済むことでしょ?雲雀くんは気付いてるじゃない」
アミの言葉に、奥田は尚更体を小さくして、しかし反論はしてみた。
「…雲雀くんは別格でしょおー。俺が内緒で理事やってんのは、桐生だって知らなかったんだよ?」
「まあね。しかも理事長の立場にありながら一生徒のアミに手を出してるんだから、そりゃ胸を張っては言えないわ。公になればスキャンダルだし、西部箱舟の恥ね」
「そうか、恥かあー」
「恥よ」
「…もうやめて……」
自分が去った医務室でそんな会話がされているとは露知らず、倫子は追いついた雲雀を問い詰めていた。
当然、納得のいく言葉がもらえる筈もなく、回廊で真醍と鍾鬼に偶然にもかち会えば、それらもすぐ忘れた。
「なにやらコソコソしていると聞いたが」
潮風が吹き荒ぶ吹き抜けの回廊で、出会った頃より少し伸びた髪を風に揺らしながら、鍾鬼は倫子を見た。
その視線を受け、倫子はげんなりと肩を下げる。
「なに、あんたまで。してないよ」
それを受けた鍾鬼の端正な顔には特に表情もなく、次に口を開いたのは雲雀に蔦の如く絡んでいた真醍だ。
「ウッソ吐けぇー!おめーら絶対なんか隠してるだろ!俺の勘はよく当たるっぺぇ!」
「猿の勘が当てになるか」
人気がないからいいようなものの、もし他に通行人がいれば話の内容が全て筒抜けになる大声だ。
倫子はそれを冷ややかに見据えて言い放つ。
真醍は白目を剥いた。
「上等だ、たちばなあああん!今日こそはその懲りない口を塞いでやる!」
「方法によっては君の命はないよ」
「…ちょっ、ウソ。ウッソ!もうひばりんたらすぐ本気にするんだからぁ~」
「きも」
「そこになおれ、橘ぁあ!」
相変わらず際どい漫才を繰り広げる友人達に、鍾鬼は苦笑混じりの溜め息を吐いて柱に凭れた。
人気もないし特に止める必要もない。