AEVE ENDING
「私を責める暇があるなら、その騒ぐしか脳のないアタマに譲歩と思いやりっつうもんを叩き込んどけチワワ」
こんな時にその「落ちこぼれ」を出したところで、なんの解決にもならないだろうに。
「そうだぞ、朝比奈。いちいちカスに構うな」
とは、武藤。
朝比奈を庇いながら、「カス」の倫子に冷ややかな一瞥を向ける。
(…なんだ、)
こいつもなんだかんだ言って、他と同じタイプなのか。
見れば、鈴木や原田も、侮蔑を含んだ視線をこちらに向けていた。
(…あーあ、白けた。非難の先がこっちに向いただけかよ)
雲雀が姿を消したことが原因か、態度を一変した四人には、正直がっかりである。
(…まともだなんて褒めなきゃ良かった)
結局、雲雀と共に行動するのが一番楽なのかもしれない。
迫害される身としては、精神的に。
(…だってあいつは、)
「―――橘」
名を呼ばれて振り向けば、渦中の雲雀が立っていた。
松を背景にした砂浜から浮き上がるように、どこへ向かっていたのか―――さくさくと砂を鳴らしてこちらへと向かってきている。
「…雲雀、あんたどこに、」
ドスッ。
「雲雀さん!」
倫子の言葉を遮り、割り込んできたのは鈴木だった。
撥ね飛ばされた倫子は、ぶつかられた肩を撫でながら鈴木を睨み付ける。
「雲雀さん、やはりこの役立たずは我々が預かります。こんな落ちこぼれに雲雀さんの足を引っ張らせるわけにはいきません」
そう身勝手に言い放ったかと思えば、鈴木は倫子の髪を鷲掴みして引き寄せて見せた。
頭皮と毛髪が千切れるまでに容赦なく引っ張られて、鈍い痛みが走る。
「…痛えよ」
―――勘弁しろよ。
急に態度が大きくなったメンバーに、うんざりと息を吐いた。
雲雀にへつらうその顔といったら、本当に反吐が出る。
苛、と沸き上がる不穏な感情に舌打ちしつつ、倫子は鈴木の手を払いのけ雲雀の前から離れた。
性悪のこいつのことだ。
馬鹿にするなと威圧しつつ、鈴木の申し出を受けるに違いない。
(なにせ私は、足手まといだから)
「そうですわ。雲雀様がイヴと行動する必要はございません。もしなんでしたら、わたくしにお供させて下さいませ!」
鈴木に便乗して、私利私欲丸出しの朝比奈が挙手をする。