AEVE ENDING
(…だからって、正確な場所を教えてやるのは)
いかん。それはいかんだろ。
捕らえられれば一体どういう処遇を受けるか。
そう簡単に捕まるような者達ではないにしろ、万が一、万が一、なにか不備があれば。
(尋問なんて序の口、幽閉、拷問…―──)
女の朝比奈に至っては口に出すのもおぞましい。
───駄目だ。
「雲雀!」
最悪の結末。そこに考えが至って、慌てて雲雀の腕を取る。
「邪魔」
しかしあっさりと振り解かれてしまった。
ふざけんな、このクソスズメ。
そんな倫子を無視して、男ふたりは話を進める。
「俺ぁ、この島のアタマやってるモンで、真醍(まだい)っつうもんだ。ヨロピクネ!」
と、全然可愛くないウィンクを飛ばした巨大な金色の猿が―――魚類だったが―――、雲雀を見た。
雲雀はその視線をしっかり受け止め、口元ににこやかな笑みを浮かべている。
「僕は雲雀。よろしく、原始人」
柔らかく穏やか、けれど目が醒めるほど鮮やかな、見惚れるような笑顔で。
吐かれた言葉は、毒。
それにヒクリと反応した真醍が、腰に下げた日本刀を抜く。
滅多に拝めないような凝った装飾の鍔が、太陽も出ていないのに光に煌めいた気がした。
「いーぃ度胸だ」
ニンマリ嗤うその顔は、雲雀と同質の、それ。
血を好む、獣の眼だ。
どちらも、敵にどのように牙を立てようかと殺気を隠さない。
相手が人間なら、まだ、まだ微かな隙があった筈なのに。
(サイコキネシス…、この反アダム派の島の頭領が、新人類アダム?)
ならば、これは。
「…橘、」
投げ捨てられた雲雀の上着を握り締め、悶々と思考を巡らしていた倫子に雲雀が背中を向けたまま呼び掛けた。
「───邪魔をすれば、殺すよ」
見透かされている。
(…このバカスズメ)
完全に、殺る気だ。
不測の事態に思わず唇を噛めば、雲雀がクスリと笑う。
「下がってなよ。大丈夫、すぐ終わる」
その言葉に、真醍が高笑いする。
「すぐ終わるのは、お前だべぇ、ヒバリちゃあぁん」
なめくさった口調が端から聞いていても苛々する。
奥田と同じタイプかもしれない。
それに気付いた倫子はげんなりと気落ちし、雲雀に至っては更に殺気を増したようだった。