AEVE ENDING








(あいつは、「人」らしくないから)

人道的、という意味での人らしくない、という意味であって。
人間らしいという意味なら、雲雀奴は優等生だと、倫子は思う。

だからこそ、扱いにくい筈なのに。


『あいつは、靡かない』

アダム帝国だなんて馬鹿げた話、あいつが本気にするわけもない。
やけにキッパリと言い切った倫子に、奥田はにやりと嗤いかけた。

『なによぅ、倫子チャン。会って間もないくせに、随分雲雀チャンのこと解ってるのねー』
『…黙れ、下半身麻痺男』
『ちょ…!女の子がなんてこと言うの!しかも麻痺って!俺まだ現役なんだけど!』
『すみませんセクハラで訴えますよ』

白々とした倫子の眼に律儀に傷つきながらも、奥田は話を進めた。

『とにかく、どっからなにが出るか解んねえから』

気ぃ付けてよ、ミッチャン。
再びくしゃりと頭を撫でる奥田に、倫子は目を丸くした。

おや、と奥田が首を傾げると。


『…雲雀を心配してたんじゃないの?』

倫子の間の抜けた声に、奥田は道化のように首を傾げて見せる。

『あんな化け物じみた坊ちゃんの心配してどーすんの』

まぁ、確かに。
奥田に髪をいいように撫でられながら、倫子は妙に納得してしまった。

『気ぃ付けて、な』

出来損ないの苦笑。
そんな顔で笑うくらいなら、最初から笑わなきゃいいのに。


『今の話、雲雀に言うべき?』
『…言わないよりマシかもなぁ』
『変に勘ぐられないかな』
『ないことはねーだろーがねぇ…。雲雀を付け狙うってんなら、雲雀を抑え込めるようなアダムが近付いてくるだろうし』

奥田の一言に、倫子は唇を噛んだ。


雲雀以上のアダム─―─。

最年少の「神」とは言え、雲雀はまだ候補生の域であり、若い。
十年そこら生きてきたこどもより、場数を踏んだアダム達は腐るほど存在する。




< 212 / 1,175 >

この作品をシェア

pagetop