AEVE ENDING
考えて落ち込んだらしい倫子の旋毛を、雲雀は上からちらりと見やる。
(今日は素直なんだ…)
お気に入りの玩具なら尚更、強くなってもらった方が遊び甲斐があるわけだし。
「僕は、根性なしとはペアでいたくない」
そう言い切った雲雀に、倫子がぱっと顔を上げた。
その顔を見た雲雀は、表情には出さないが思わず目を丸くする。
「…なんて顔、してるの」
縋るわけでも泣きそうになっているわけでもないが、その表情は。
(なんでそんな、びっくりした顔…)
怪訝そうな雲雀に対して、原因である倫子はその「びっくりした顔」のまま口を開く。
「…今の、励ましてくれたわけ?」
「―――は?」
倫子の言葉に、雲雀は不機嫌そうに顔を歪めた。
何故、そうなる。
そんな雲雀に、しかし倫子は嬉しそうに笑顔を浮かべたまま楽しげに声を上げた。
「なんか、そう聞こえた」
(だから頑張って)
みたいな。
雲雀にしてみれば不本意な勘違いだが、倫子にしてみれば真意などどうでもいいのだろう。
ただ、自らが勝手に感じた優しさに満足しているだけ。
(…水を注す必要もない、か)
意気揚々と歩き出した倫子の後を、雲雀はゆっくりと歩く。
───周囲に立ちこめる腐臭や陰鬱な空気は相変わらずだが、倫子の心は少しだけ晴れやかだった。