AEVE ENDING
「傲る馬鹿が湧いたね」
「ほんとだよ!見ろよあいつ等!」
倫子が苛立たしげに地面を垂直に蹴りつけた。
その視線の先では、栄養失調なのだろう細い体をした、しかし端正な顔立ちの女性を、アダム数人が囲んでいる。
全員、男―――治療と称し、ベタベタと無遠慮に女性の体を触っているのだ。
女性は抵抗する気力もないのか、ぐったりと壁に凭れたまま男達のいいようにされている。
周りの住民達は、気付いているのかいないのか、自ら関わる様子はない。
「クソ共が!」
「橘、待って」
我慢の限界がきて鼻息荒く足を踏み出した倫子を、雲雀が引き止めた。
「なに!離せよ!」
右肩をがっちり掴まれた倫子は苛立たしげに振り返り、雲雀を怒鳴りつける。
しかし雲雀は、涼しい顔のまま事も無げに呟いた。
「君が出る幕はないよ」
「…はあ?」
その言葉に視線を戻せば、そこには新たに、朝比奈と武藤の姿があった。
朝比奈は憤慨した様子で腰に手を当て、大声を張り上げる。
「貴方達、アダムとして恥を知りなさい、恥を!」
「まーまー、盛っちゃってやあね、お前らときたら」
西部のマドンナであり、ナンバーワンの実力者である朝比奈、そして東部でも目立つ実力派の武藤。
ふたりの登場に、女性に群がっていたアダム達が蒼白になる。
「離れなさい!汚らわしい!」
あまりのことに、朝比奈が女性の体に触れたままだった男達を蹴散らした。
同時、空気がぱしりと振動して、男達が女性から強制的に離された。
恐らく、武藤の手助けだろう。
「セクションの最中にこんなふざけた真似をするなど言語道断!さっさと奉仕に戻りなさい!」
さすが会長。
威厳たっぷりに諌められたアダム達は、頭を下げてそそくさとその場を後にした。
武藤は朝比奈の後ろでニヤニヤと突っ立っている。
「朝比奈、お手柄」
「お黙り!!」
からかう武藤に、朝比奈は不機嫌そうに言い返す。
そして、壁に凭れたままこちらを見上げている女性の横に膝をつき、その骨と見紛うほどか細い手を握った。
「身内が失礼な真似をしました。ごめんなさい。大丈夫でしたか?」
普段、倫子に突っかかってくる朝比奈からは想像もできないほど穏やかな笑みを浮かべ、誠心誠意、女性へと謝罪している。