AEVE ENDING
「透けてる。上着、着たら」
「うす」
透けてる、には完全にノータッチ。
倫子は上機嫌に口角を上げたまま、ふらふらと遠くへ脱ぎ捨てた制服の上着を取りに向かった。
「…雲雀様!」
そこへ丁度、朝比奈達がやってきた。
他のアダムも同様に集まってきている。
いきなり現れた朝比奈と武藤に、子供達は今度は雲雀の足へとしがみついた。
「…これはなんの騒ぎですの?この水は一体…」
朝比奈は怪訝な表情を浮かべ、湧き上がる水を見上げた。
その背後では武藤が、おースゲーと暢気に口笛を吹いている。
「───あぁ、飲み水。エリア内の彼らにもう海水を飲む必要はないことを伝えて。あれは今の状態でも飲めるけど、蒸留させれば、もっとちゃんとした飲み水になるから」
「おいちかったよ!」
「ねー!」
雲雀の言葉に、足にしがみついている子供達も賛同する。
なぜ懐かれたのか、雲雀にわかるわけもない。
「まぁ!さすが雲雀様ですわ!」
朝比奈は朝比奈ではしゃぐ。
―――いや、僕じゃない。
雲雀がそれを口にする前に、周囲がざわついた。
見れば、びしょ濡れの倫子にたかる、数名のアダムの姿。
そういえば、彼女は弾かれ者だったっけ、と暢気に考えた。
「まぁ、…橘は何故びしょ濡れなんですの」
そちらに視線を移した朝比奈が首を傾げる。
「大方、噴水で遊んでたんじゃねーの」
武藤が無感動に呟いた。
倫子に群がるアダム数名もそう思っているらしい。
まさかイヴと馬鹿にされている彼女が水脈を引っ張り出したなどと、誰も思いつきはしないだろう。
(…しかも、いちいち癪に障るから…)
周囲としても、無視できない気に入らなさがあるらしい。
アダムとして誇りを持つからこそ、同族から出た錆を嫌う。