AEVE ENDING
その極悪とも呼べる視線に、彼らは押し黙った。
深い嘲笑がアミの口角を釣り上げる。
「他人事を端から愉しむのは結構だけど、その前にその頭悪そうな発言とその下劣な意識をどうにかしたら?アダムとしてのプライドも吹けば飛ぶんじゃない?こどもの約束みたいにさぁ。…あ、ごめーん。充分鼻垂れのガキだったったっけ。精々母親の乳でも吸ってその汚い口閉じてろ、豚が」
ぞっとするような冷たい声で息継ぎなしでそう言い切ると、アミは食事を中断して食堂を後にした。
その後を気遣わしげなパートナーが追う。
突然のことに静まったままの食堂が再び騒ぎ出すのに、二分は時間を要した。
今度は倫子からアミへの話題に展開されて。
「アミさん…」
怒り心頭。
競歩並の早さで回廊を進むアミを、パートナーのゆかりは必死で呼び止めた。
気性は穏やかだと思っていたアミの本性に少々戸惑いながらも、先ほどのアミの言葉は正論だと考える。
カツカツと規則正しく響いていたヒールが、不意に止まった。
「…アミさん?」
立ち止まったアミに合わせ、ゆかりも律義に立ち止まる。
アミの視線の先には、正方形にくり貫かれた中庭――申し訳程度の植物が植えられたそこは、アダム達の修練場として使用されている。
そこには、その場を走り回る倫子と、立ち止まったまま静止している雲雀の姿があった。
「橘さん…」
右腕は、肩まで包帯を巻いた倫子が静止する雲雀に果敢に攻撃する。
それをうまく逸らしながら、雲雀はなにやらを口にしているみたいだ――猪みたいとか、ノロいとか、ばか、とか。
よく見れば、倫子の包帯には血が滲んでいる。
痛むのだろう。
汗の噴き出した顔に浮かぶのは、苦痛。
───でも。
退かない。
「……悔しい」
それを眺めていたアミがポツリと呟く。
あまりに小さい声に、危うく聞き逃すところだった。