AEVE ENDING
雲雀の指に力が込もる。
酷く耳障りな音がして、包帯から血が吹いた。
真っ白な指とシーツを、「あか」が汚す。
「…こんなになるまでやるとは、正直、思わなかった。東部のイヴはマジックしか使えない役立たずだって、話に聞いてたのに」
ギリ…ッ。
腕を捻られた。
凹凸する傷をその柔らかな肌に潰されて、あるようでない隙間に熱が籠もる。
―――熱い。
「ねぇ、君は随分と能力の使い方が下手みたい。潜在能力はそれこそ、……僕みたいなのに」
なにを畏れているの。
その怯えた眼の奥で僕はどう映る?
「…なに、を、」
あぁ、可哀想な橘。
きみはなにひとつ悪くないのに、こうして脅されて、そうして脅えなきゃならないなんて。
「こんな醜い体で、僕になれると思った?」
そう本気で信じていたとしたら、君を変えた男達は本物の馬鹿だね。
嘲笑を浮かべて見せる。
この腕の中で鳴かない獣は、その頬をひきつらせた。
「…っ、いつから」
ぞっとするような眼が形作られて、雲雀を睨みつけた。
そうだよ、橘。
(僕はその眼が見たかった)
倫子が唇を震わせた。
それは恐怖からではなく、怒りで、だ。
濡れた眼が無言のまま先を促すけれど、素直に従ってなんかやらない。
「なにが?」
「とぼけるな」
とぼけたほうが良いのは、寧ろ君の方なのに。
馬鹿な子だね、本当に。
(───あぁ、それを言うなら)
僕も大概、愚か者だ。
抵抗もままならない弱く傷付いた獣を真下に組み敷いて、それこそいたぶり殺すように、毒を吐いている。