AEVE ENDING





今すぐ声を上げて足掻いて殴って、今感じている憤りの全てを吐き出してしまいたいのに。
それなのに抑えつけられた喉はくぅ、と鳴くだけで、なにも伝わらない。


(悔しい…)

目の前の男はそれを知っているのだろう。

のしかかる雲雀は緩やかな弧を描いた眼で、倫子を慇懃に辱めた。

指に力が籠もる。

―――息、が。




「この醜い体に、僕の一部が流れているなんて」


不愉快。

唇だけが、揺れる。

音もなく、甘やか、熟れて。



「ぁ、あ゛ぁ゛、…っぁ」

醜い声だ。

首を絞め上げられて、傷に爪を立てられて、全てを掴みあげられて。


「そうだよ…。鳴きなよ、幾らでも。───声が嗄れるまで」

息が出来ない。
腕の感覚が麻痺してきた。

逃げ場を阻まれ飲み込めない唾液が、口端から零れる。
雲雀の綺麗な指を、それが汚してしまう。


(…、いや、)

それを一瞥した雲雀は気にした様子もなく、倫子の唾液に濡れた唇を、舐めた。

「…っ、」

朦朧とする意識の中で、雲雀が、嗤ってる。

(まるで慈しむような、眼で)




「死ぬまで可愛がってあげる」

厭きるまで、ずっと。

「っ、」

意識が落ちる瞬間、首に絡み付いていた指がぱ、と離された。

解放された気管が勢い良く機能し始め、急激に肺へと入り込んだ酸素に喉が詰まる。


苦しい。




「…、ぅ、カッ、ァ、」

固定されていた顔を逸らし、上体を浮かして咳き込む。
肩が揺れて、絞殺されかけていた首筋がぎりぎりと痛んだ。


「ッ、ぁ、あ…」

急速に狭くなる視界。

涙が、滲む。

体が、蘇っていく。



「まだだよ」
「、!」

視界が陰る。
顎を掴まれて、再び上向かされた。
細い指が、皮膚のつぎはぎを乱暴に掴み上げている。


「―――…、っ」

再び、呼気が阻まれた。

けれど今は、指ではなく、唇で。


(───な、)

その感触に息を、飲んだ。

見開いた視界に、長い睫毛と、閉じられた真っ白の瞼。

「、っ」

上下の唇を食まれて、呼吸が出来ない。
震えた唇を無理矢理こじ開けられて、舌を捻り込まれた。

右腕を抑えつけ、肩を掴まれてシルクに縫い付けられる。




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