AEVE ENDING
「…は、」
隙間から漏れた雲雀の吐息は、倫子と同じように荒く、熱い。
そのことに全身が粟肌立ち、縫合したばかりの傷が震えた。
再び隙間なく閉じられた呼吸器官と、身勝手に遊ばれる咥内。
───これは、口付けなんかじゃない。
(…窒息する)
こいつは。
(…私を、殺す気だ)
「…っ、せ」
こんなの、あんまりだ。
「、ひ、っ」
隙間から漏れた醜い嗚咽に、雲雀の侵略が一端、退く。
たすけて。
「…っあんたにだけは、知られたくなかったのに…っ」
顔を腕で覆い、小さく身を丸める。
まるで殻に閉じこもる小さなこどものように。
「───…何も知らないで、普通に、していてくれたら…」
それで、良かったのに。
この全身を苛む傷は過去のもの。
あの苦痛と侮辱の、ただの傷痕だと。
「あんたには…っ、わからない」
あの屈辱を。
あの辱めを。
知らない男達に体を開かされ、内臓を弄られ、身体の部位という部位で遊ばれ、良いようにされた、私の。
「雲雀が、なにも知らないことが…っ、私の救いだったのに…!」
だって笑いかけてくれたから。
ほんのたまに、それでも私に、笑いかけてくれたから。
―――だから。
「……っ、」
赦される気でいた。
私は雲雀を、陵辱した存在だ。
それを、この醜い私を、なにも知らない雲雀は甘受してくれていたから。
―――なのに。
「…なんで、暴くのぉ…!」
嫌だ。
知られたくなかった。
体中に走る醜い傷痕にも、皮膚を裂かれて内臓を引きずり出されて、痛みにのたうち回り、最終的にただの生きた肉塊になった過去なんて。
「恥ずかしい…、」
いやだ。
わたしは。
知られたくなかった。
怯えてばかりの弱い私なんて。
うちが恋しくて、奥田にも見られないように隠れて泣いていた私なんて。
辛くて辛くて痛くて苦しくて、死にたがってた臆病な私なんて。
―――知られたくなかった。