AEVE ENDING
「…話?」
けれど雲雀は予想外の反応を見せる。
首を傾げて、眉間に皺を寄せて、倫子の言葉の意味が解らないとでも言いたげな、表情を。
「…とぼけるな。全部、知ってる癖に」
今更、誤魔化しなど要らない。
それなのに、次に雲雀の口から漏れた言葉に倫子は驚愕せずにはいられなかった。
「なにを言ってるのか知らないけど、僕は蛇男の言葉に便乗して遊んだだけだよ」
―――間。
「は?」
思わず間抜けな声が出る。
泣いていた名残もあって、間抜けさに拍車が掛かった。
「…へび?」
「貧困エリアで会ったでしょ。蛇の入墨の男」
雲雀はいけしゃあしゃあとその細い肩を竦めて見せた。
『体は人間でも、その内に修羅を宿している』
蘇る言葉に、全身から力が抜けた。
(ば、馬鹿馬鹿しい…)
傷付けられることは既に慣れたことではあったのに、核心を突いた言葉に翻弄され、畏れて、怯えて、泣きじゃくった。
なんて、恥ずかしい。
そうして不機嫌に唇を噛む倫子を上から眺め、雲雀は口角を釣り上げた。
「なにを勘違いしてたか知らないけど、……そう、そこまでして知られたくない秘密があるの」
そう囁けば、俯いていた倫子が顔を上げて睨みつけてきた。
(そんな泣きはらした眼じゃ、怖くもない)
ささやかな抵抗を鼻で嗤ってやれば、益々憤慨したらしい倫子が眉を釣り上げ抗議しようと口を開ける。
その唇を、撫でた。
「…、」
途端に大人しくなったかと思えば、顔を真っ赤にして後退る。