AEVE ENDING
「なに?」
「…っ、!」
解っていながら尋ねた。
それに対し、更に腹を立てて倫子は無言のまま自室に走り出す。
「…晩御飯は?」
扉にその背中が消える寸前、そう問い掛ければ。
「食うよ!」
威勢良く返事が返ってきたことが笑えた。
(───もう少しだけ、知らないフリをしててあげる)
誤魔化したのは、あの憐れな泣き姿に絆されたわけでは、決してない。
下げた視界に映る、赤く濡れたシルク。
飛散した血液は相当な量ではあるが、あのゴキブリ並みにタフな彼女なら大丈夫だろう。
光沢を放つシルクに、艶やかな朱が、淫らに揺れていた。
(―――あぁ、僕は馬鹿だ)
何故、ただの玩具に触れてしてしまうのか。
ましてや口付けなんて、汚い。
無意識下で自覚しているのかいないのか、雲雀自身にすら、それは解らなかった。