AEVE ENDING
「…ひばり、」
(あれは、なに)
海面に浮いていた巨大な戦艦が、散り散りの砂と化して海に落ちてゆく。
―――あれは。
「…愚かさの象徴だよ」
雲雀が、小さく囁いた。
静かに響いたその言葉に含まれるのは、深い深い、憂い。
まるで、この荒廃した世界を厭う神のように。
「…ひばり?」
(なに、その眼)
その美しいまっさらな体の奥に、なにを秘めているのだろう。
(私が醜悪な過去を閉じ込めているように、その体、にも)
普段は決して垣間見せない胡乱な視線はしかし、すぐさま普段の慇懃な眼に戻ってしまった。
「…それで、僕は罰ゲームから抜けたわけだ」
その眼が、倫子を捕らえて小さく笑う。
「なにそれ」
「人類が残した不要な遺産を排除してあげたんだから、当然デショ」
返す言葉もない。
「じゃあ、私は?」
「頑張ってきたら?」
背中をぽん、と叩かれたと思えば、そのまま下り坂になった砂浜へと放り出された。
砂の斜面を、見事に転がる。
数歩転がったところでブレーキをかけ、上を見上げれば、倫子を突き落とした張本人───雲雀が、じ、とこちらを眺めていた。
立ち止まった小さな砂丘から、その麗しい男を見つめる。
(…気に入らないんだよ)
発光する白く重い空を背に、その透けるような肌は青白い。
真っ黒な髪が、緩やかに風に乗っていて。
―――まるで。
「…ねぇ」
その真っ直ぐな眼は、なにを見ている。
「もっと、話そうよ」
馬鹿みたいなことで良いから、下らないことで良いから。
(あんたのことなんか、知りたくないけど)
「…その眼、らしくなくて調子狂う」
それを聞いて、驚いたように見開かれた麗しい眼。
「神様」には決して見えないその年相応の表情に、安堵しながら。
(…ねぇ、もっと話をしよう)
この下らない馴れ合いを、あんたは鼻で嗤うんだろうけど。
らしくない、から。