AEVE ENDING






ただ真っ直ぐ、躊躇いもなく雲雀を見つめてくる眼は、まるで赤ん坊のようだった。
策略も疑惑も下心もなにもない、見つめられれば戸惑ってしまうほど、無垢な眼。


(…罪深い赤ん坊にだけ赦される、眼を)

躊躇いなく、僕に向ける。

(その傷付いた体で)

その痛んだまま、歪んだまま原形を止めていない心で。

(…気持ち悪い)

この生温い馴れ合いの関係など、砂上の城な過ぎないのに。

ヒトの体温は、気味が、悪いのに。



(それは、橘だって同じであるはずなのに)

僕の力を植え付けられた哀しい生き物。

煩わしく浅ましい、人間の体。


あぁ、それなのに。



『…雲雀』

それしか知らぬように、信頼しきった声で、僕を呼ぶ。

時には僕を殺そうと息を詰めるくせに、それなのに、今も。



『雲雀』

『ねぇ、雲雀』

もっと教えてよ。

私と、もっと話をしよう。





「───馬鹿言ってないで、早く行ったら」

そうして向けられる、崩れきった笑みが煩わしいはずなのに。

(それが心地いいなんて、まさか)

誰も、知り得ないのだ。

このじわりと浸食する変質も、不躾なあの眼の奥の企みも、なにもかも、知り得ない。


(橘…、)



「君なんか、必要ないよ」







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