AEVE ENDING
「つめたー」
冷たくて冷たくて、皮膚に刺さりそうだよ。
「なにがしたいの?」
「落ち着こうと思って」
「…こんなので落ち着けるの?」
不信の眼。
あんたらしい。
「───人恋しくなって、つい」
馬鹿みたいだ。
こんな不完全な、嘘。
「馬鹿?」
馬鹿だよ。
苦笑が漏れる。
(ねぇ、あんたは)
「雲雀はさぁ、結局なんだかんだ言って、優しいよね」
また馬鹿なことを言ってしまった。
雲雀の綺麗な眉が、真ん中に深く深く寄っていく。
「…なにが言いたいの」
「私にもわからん」
不機嫌な顔をしながら、ねぇどうして、この煩わしい筈の手を振り払わないんだろうね。
(会った当初は、触れることすら厭う男だったくせに)
「…早く先に進みなよ。お仕置きだよ」
変化、しているのだろうか。
この身の中に確かな変化が在るように、雲雀の中にも。
(───それは私達にとって、)
良いことなのか、それとも。
(考えたってどうなるわけでもないけど…)
答えが出たって、この醜い体が元に戻ることはないのだ。
―――やめた。
「スパルタでお願いします。先生」
忘れるな。
忘れるな。
(私はいつか、こいつに殺される)
このさわるものすべてをはかいしようとする、「深淵の月」に。