AEVE ENDING
「全く、勇ましいね」
たった一騎で戦場に向かう気なのか。
雲雀の華奢な背中に感嘆の溜め息を吐き、奥田は部屋へと戻ることにした。
本来なら重い腰である筈のトップが、てんでケツの軽い若者というのも考えものである。
「…サポート役の俺の立場も考えて欲しいもんだよ、全くさぁ」
雲雀にしてみればただのお節介であろう呟きが、静かな回廊にぽつりと落とされる。
(まぁ、掻き乱した原因は、元を正せば俺なワケだし)
セクションにてペアの采配を決める際、あたかも能力の糸により雲雀と倫子が繋がっているように告げた自身の嘘つきっぷりには、全く感動してしまう。
(…それにまさか、君があんなに倫子に傾倒してくれるとは思いもしなかったから)
微かな喜びを胸に、奥田は見えなくなった雲雀の背中へとささやかな礼を投げかけた。
「―――さぁて、こっちもノンビリしてらんないね」
囚われた先で倫子がどんな扱いをされているか定かではないが、研究当時を知っているからこそ、ただの想像では済まない凄惨な結果が待ちうけている気がするのだ。
(…生きててよ、倫子)
その昔、軽率にも彼女を化け物呼ばわりした愚かな己の為にも。
(まだ贖罪は、始まってもいない)