AEVE ENDING
「信徒を愛でる趣味、か。よく言うね、雲雀よ。ならば君は、ここになにを求めてきたと云うのか―――」
桐生が嘲笑う。
自らの虚構を慕う信徒を愛でる娯楽など、神には必要ない。
ならば何故、神は今、ここに立つのか。
··
「アレは僕の所有物だもの」
本来ならば、指一本触らせたくはない。
「僕以外があれを生かし殺すのは、赦さない」
あの醜い体は僕が所有する唯一のものだ、と。
「君がまさか、あんなガラクタに興味を持つとは…」
雲雀の慇懃だが真っ直ぐな瞳を正面に、桐生は弱々しく溜め息を吐いた。
桐生にしてもそれは、予期せぬことだった。
まさかあの身心を破綻させられた少女が、よもや正気を保っていられるとは思ってもみなかったからだ。
そしてソレが、雲雀を受け入れることも。
「全く、彼女には苦労させられたよ。研究当時に鍛えられたのか、あの我の強さは尋常じゃない」
だからこそ、雲雀はここに立っている。
煌々と輝く灯りに惹かれ、寄ってきた憐れな蛾。
まさかその気高い灯りが、その蛾にテリトリーを許してしまうとは。
「―――ねぇ、」
苦笑に近いものを形成する桐生の顔を眺めながら、雲雀は少し声を荒げた。
この静かな空間で、老人とふたりきりで対談する今の時間ほど無駄なものはない。
「無駄口はいいから、そろそろ返してくれる?早く休みたいんだけど」
思えば、倫子が連れ去られてから一睡もしていなかった。
心配だったからではなく、ただ単に倫子が捕らえられている組織を探り出す作業に睡眠を削られただけのこと。
二日と経っていないが、正直、雲雀のなかで面倒になってきているのは事実だ。
倫子を取り戻すのも、その為に桐生と言葉を交わすのも。