AEVE ENDING





人体実験のモルモットといえど、何故、ここまで―――。

雲雀ですら、なにもない空(くう)に問い掛けそうになった。
それほどまでに汚らしく、そして憐れなまでに、何故、生きていられるのか。

濁々とした白に走る赤黒い蚯蚓は、今にもその華奢な体を喰い尽くそうとしている。



「…君のその顔が見たかった」

桐生が漏らしたその言葉は、雲雀の鼓膜を揺るがし脳髄に汚らしい汚点となって浸透した。

「なに?」

雲雀の不愉快げな問い掛けに、感嘆、と表現したほうが適切であろう溜め息を吐いて。

「この世のどんな造形物より美しい君の、その悲痛に満ちた顔、を」

くつくつと嗤う桐生は、真横に立つ倫子に手を伸ばす。
槐櫑と化した倫子は、なんの躊躇いもなくその手に擦り寄るが、やはり表情は変えぬまま、唇を一文字に結び、まさに、人形、のように。

「まさかこの愚女が私の役に立つとは思わなかったが…、君に影響力を与える立場になったことだけは褒めてやれる」

くつくつ。
嗤いながら悪戯に倫子の傷に爪を立てては撫でてゆく。
倫子はやはり、桐生のなすがまま。


「…それに、一体誰が考えたかね?修羅と崇められる君が、醜いモルモット如きにそこまで感情を露にするとは」

白濁が嗤う。
気味の悪い不透明を、今すぐ。

―――まだ、隠してることが。


真実はどこ?





「橘倫子も憐れなものだ…。私の進言を真に受けた君の母親に、まさか見初められるとは」

―――蘇る。




『あんたのせいで…っ、』

それは。


『触るな、頼むから…』


願いとは、程遠い。






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