トラックで輝く君を
ちょうど私が『陸上部』というワードを口にした時に、真横にいた男子の先輩がくるりと振り返った。






長身ですらりと細身。
明るい茶髪は地毛ではないとすぐにわかった。なんだか…チャラそう。





「あ、はい。」



少し遅れて、私はそう返事をした。





「本当に?ふたりとも?やったー!かず!かわいい子2人ゲット!」



そのチャラい先輩がそう言ったら、すっと横にほんのり茶髪で物静かそうな男子の先輩が現れた。





「圭くん。この子たちビックリしちゃってるから。」



“かず”と呼ばれた先輩が私たちをフォローしてくれた。

ありがたい。
少し、びびっていたから。









「あ、ごめんね!俺は飯村圭、3年で部長です。こっちは田丸和、同じく3年。お二人さんは?」





…なんだか
ホストみたいだな、とか考えながら私はさらっと自己紹介をした。





「佐藤蜜菜です。こっちは付き添いなんで。」



「野澤結希です。私は男バス希望なんです。すいません。」





「そうなんだ?じゃあ蜜菜ちゃん、グランド行こうか。あ、お友達も来る?」





部長?さんはそう言って結希ちゃんを見た。

結希ちゃんはさりげなくアイコンタクトで帰るね、と伝えてきたので了解した。




「いえ、私は帰ります。」



「そう、じゃあ気を付けてね。」



「はい。じゃあ失礼します。バイバイ蜜菜ちゃん。」




「じゃあね、また明日。」



昇降口で結希ちゃんと別れて、部長?さんと一緒にグランドに向かった。
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