トラックで輝く君を
「涼平も俺タイプだよな。
健人のことだって気付いてるし。」





そんな、おこがましい!
正樹先輩は俺の憧れだ。

…記録は市大会レベルでも、走るのが好きなんだろうな。すげ-楽しそうなんだ。





「いや、そんなことね-っす。」



「謙遜か?似合わねぇ。
今さっき言っただろうが。
もっともっともっともっと自信を持っていいんだ。」





もっとの数、増えてないか?

まあ…いっか。





「てか、俺たち置いてきぼりになっちまったな。」





…本当だ。

もう、200近くも離されてしまっている。





「ま、今日はぐだぐだが許される日だしな!」





とか言いながら、正樹先輩はスピードアップ。

短距離なのに。
その長距離レベルの体力はどこに秘められてんすか?





「涼平、置いてくぞ!」



「え、待ってくださいよ!」





と、ダッシュかましところで…





「西高校陸上部、短距離の30分間ジョグ終了です!!!!」





佐藤の声が微かに耳に届いた。





「お、ラッキーだったな。」





正樹先輩はそう言って、スピードダウンして歩きだした。





俺も、これくらい、正樹先輩くらい余裕ある男になりたい。





なぜか、さっきの焦りはどこかに消えてなくってた。



俺は、小さく正樹先輩にお辞儀しておいた。





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