トラックで輝く君を
お母さんの言葉は軽くスルーしておいて、急いでご飯を食べた。





ちょうど準備が整ったときに、表にバイクが停まる音がしたから窓を開けた。

そこには約束通り航兄。





「よっす!」





窓から顔を出す私に気付いた航兄がヒラヒラと右手を振る。



端から見れば、私と航兄は恋人に見えるかも。いや、見えるよね。





「今行く。」





私はバタバタと階段を降りて、お気に入りのパンプスを履いた。


そこに、お父さんが来た。





「蜜菜、…泣くなよ。
女を泣かせた男ってのは、その後もずっと引きずるもんだ。最後に見る顔は、やっぱり笑顔が一番だから。」



「うん。ありがとう、お父さん。私…きっと笑うから。」



「あぁ、気を付けてな。
お母さんはああ言うが、航太くんに迷惑をかけないように。」



「わかってる。行ってきます。」





やっぱり、お父さん大好き。





表には、待ちくたびれた風な航兄がバイクにまたがってケータイをいじっていた。



だいぶ待たせたかもしれない。





「ごめんなさい、航兄。」



「いや?おやじさんだろ?」



「うん。迷惑かけるなって。」



「ははは。別にかまわね-のになぁ。弟の大事な人だし、俺の可愛い妹分だし。」



「へへへ。私、航兄の妹?」



「そうだな。妹みたいに思ってるよ。さ、捕まりな。振り落とされても知らないかんな。」



「ヘルメットOK!」



「よっしゃ。」





< 275 / 313 >

この作品をシェア

pagetop