トラックで輝く君を
私を乗せた航兄のバイクはぐんぐん進んでいく。



バイクに乗ったのは久しぶり。
私は、春の風を全身に浴びて、街を抜けていく感覚が好きだ。





「蜜菜はバイク好きだよな。」



「…大好き。私も免許取りたいけど、それだけはお父さんがダメって言うの。」



「俺も反対だ。」



「なんでなの-!?」



「だって、蜜菜はしっかりさんに見えるけど違うから。」





もう、失礼しちゃう。





「ほら、着いた。ここだろ?」





着いたのは…古いお寺。
ここには、治也の魂が眠ってる。





この場所に来たのは初めて。

…どうしても来れなかった。





ここに来たら、治也が死んでしまったことを認めたことになるから。

…往生際が悪いと言われても仕方ないのだが、認めたくなかったの。



受け入れられなかったの。




< 276 / 313 >

この作品をシェア

pagetop