トラックで輝く君を
「…ここだよ。」





墓石に、[花田家之墓]と書いてあるやつの前で航兄が止まった。





やっと会いに来れた。
……すごく久しぶりだね、治也。





遅くなってごめんなさい。





私と航兄でお墓を掃除して、二人並んで手を合わせた。










─ねぇ、治也。

私はやっと過去を乗り越えて、好きな人が出来ました。



今でも、あなたが大切なことには変わりはないんだけどね。それは、幼なじみとして、に変われたのかもしれません。



今の私には、あなたのことも受け入れてくれる最高の人がそばにいてくれます。

航兄も、隣で笑ってくれる。



だから、心配しないで、どうか笑顔で見守っていてね。



ずっと治也を想い続けるって決めたのに…それが途切れることを許してください。



また、必ず会えると信じてる。

天国なのか、来世か、またその次なのかはわからないけど…会えると信じて私は進む。



だから、私のこと、忘れないでおいてね…。



今度、涼ちゃんと来るよ。─





私は、いつの間にか閉じていた目を開けた。





「いいのか?」





隣にいる航兄が、前を向いたままそう聞く。





「…うん。」





私は合わせた手を下ろして、墓石に一礼して去った。





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