トラックで輝く君を
「切っちゃうの?失恋?」



「…違いますよ。ただ、そろそろ私も変わりたいって思ったので。」



「心境の変化ってやつ?
だからあなたは綺麗になったのねぇ。前よりもステキな女性になってるわ。」



「さすが、口がうまいね。」



「あら、本当のことなのに。
じゃあ…私に任せてくれないかしら。最高に可愛くするわ。」



「ショートにはしないでね。」



「承知したわ。さ、シャンプーしてもらってちょうだい。」



「は-い。」





一時間後

私の髪はミディアム丈になった。





今までで一番短い、ってほどじゃないけど。





「どうかしら?」



「うん、気に入った。」



「クスクス。あなたの大切な人もきっと気に入ってくれるわ。」



「私、そんなこと言った?」



「接客業してるとね、何となくわかるようになりもんよ。特に女子高生はわかりやすい。」





ふうん…。

なんか、この人には嘘言えない。





「それから、これは私からささやかな贈り物よ。」





手渡されたのは、小さなアトマイザーだった。





「中身は香水よ。きっと、あなたの好きな香りだから。」



「ありがとう。じゃ、また。」



「またお待ちしてますわ。」





…ほんのちょっとずつ、自分を変えていける。

その勇気も貰ったから。





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