アライブ
そんな雪音と雪音の母親を少し離れたところで見ていた橘玲子は、ふと心の奥が温かくなり優しい笑みを零した。
『ったく…さっぱりわからん。現金2000万円は手付かずのままだし…“いつか帰るところ”と書かれた犯人のメッセージの意味もわからんし…あげくの果てには、犯人が蒸発し現場から消えてしまった…。逃げ場のないあの状況で…生きてる人間が消えるなんて…』
無精髭を生やした警察官は、橘玲子の隣でうなされるようにブツブツ呟いていた。
『こんな世界でも“生きたい”と言うその強い気持ちがあったから、例え幻になったとしても“生きる”事が出来きたのかも知れないですね』
ブツブツ呟やく無精髭を生やした警察官に、橘玲子は告げた。