駆け抜けた少女【完】


「ちょっとお相撲さんっ!」


矢央が力士の前に立ち、はるかに大きな力士を睨みあげていた。


んなっ!? 何やってんだ!

永倉は慌てるが、全ては遅かった…………



「あんたがどこの誰か知らないし、こっちが誰なんてのも関係ないの!
こっちは、一刻を争う病人をお医者様に診てもらうために先を急いでんの、そこを退いて下さい!」


一切怖じ気着いた感じはない。

矢央にとって危ない怖いの前に優先されるのが、斉藤を早く休ませてやりたいといった想いなのだ。


力士は矢央を一睨みすると、ハッ!と鼻で笑う。


「なんだチビ助が、ひねり潰されたいのか?」


調子乗り過ぎている。

力士は、この面子を、まさか壬生浪士組とは思っていなかった。


着流し姿や稽古着姿に脇差しという男達を、そこらにいる浪士と勘違いしていたのだ。



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