駆け抜けた少女【完】


「おまんは、なにをしちょうがかぁぁぁぁっ!?」

「こうするしかないじゃんかぁぁぁっ!!」


真冬に川に飛び込む無謀さに、落とされた以蔵は頭が痛い。


だがしかし、確かにこれしか新選組から逃げる方法はなかった。



――――ドボンッッ!


立て続けに立つ水しぶき、いくら舟が通る川とはいえ二人は多少の傷を負うのは否めない。



「っぶはっ! 以蔵さんっ?」


先に顔を出したのは矢央、先日の雨の影響か、水嵩が増していたおかげで体は打ちつけなかった。


が、思ったより川の流れが早く体が流されて行く。


「矢央っ!!」

「矢央さんっ! あなた達、早く彼女と岡田以蔵の捕獲に走りなさいっ!」


橋の上では、矢央を見つけ安堵する永倉に沖田の姿が見える。

沖田は隊士達に命を下すと、自分もその後を追った。




「以蔵さんっ? 何処にいるのっ? あぶっ!」

以蔵がいくら経っても浮かんでこないことに青ざめる。

うそっ!本当に死んじゃったのっ?


どうしようと慌てもがくと余計に流れに身を流され、矢央自身危険な状態に陥りかけた時。



「早くコレに掴まれ!!」


あぶあぶと水をかいている矢央の目の前に突如現れた刀。

鞘に掴まれと言う人物を見ようと顔を上げた。


「何をしとるんじゃっ! 早く掴まれと言ってるだろう!」

「うえっ!? ふぶっ!」


駄目だ溺れる! と、必死に鞘を掴むと、矢央の体は流れに逆らい持ち上げられた。


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