魔女のカウントダウン☆

都合の良い女


季節が夏に変わる頃、また、文人が突然、あたしの前に顔を出した。


『何?』と訊くあたしに、お決まりの彼の台詞が返ってくる。


『める…ごめんな、今度こそ、俺にはお前しか居ないって解ったから!!』


こんな感じの台詞をあたしは、今年で、9回訊いている事になる。

正直… うんざりだ。


うんざりだけど、ここであたしは、いつも彼を許してしまう。


それが、彼に惚れているあたしの弱みで
また、いつの間にか、2人の間の暗黙の了解になっていた。

だから、あたしは、当然頷く。
頷いて、ニコリと笑い、こう言うんだ。

『待ってたよ。お帰りなさい!』ってね・・・



歩夢は、相変わらずなあたしを見て

『いつでも待っている、都合の良い女』

だと言う。

『めるにはさ…女としてのプライドが無いの?』

久々に集まった、歩夢の家で、加奈があたしに指を差した。



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