魔女のカウントダウン☆
『める…どうしたんだ?料理にも手をつけないし、さっきから変だぞ!』
うつ向いたあたしに、文人が怪訝な顔をした。
『ごめん…』
『何が、ごめんなんだ?』
『・・ぇないの…』
『はっ? 声が小さくて聞こえないよ』
文人の言葉に、あたしは、顔をあげた。
驚いたような顔をして、あたしを見る文人
『なんで、泣いてるんだ?』
『・・笑えないんだよ…』
『どう言う意味だ?』
『もう、文人の横では、笑えない!』
口から出たのは
自分自身と向き合った、あたしの限界の言葉だった。
そのまま席を立つと、文人に背を向ける。
『待てよ!!』
文人は、そう叫んで 手を掴んだけど、その手をあたしは振り切った。
9年間の文人との思い出が、シャボン玉みたいに、フワフワと心に浮かんでは、消えてゆく…。
『さようなら』
呆然と立ち尽くす文人に別れを告げて、あたしは、レストランの扉を開いた。