魔女のカウントダウン☆

ゴンドラとリフトを乗り継ぎ、あたし達が向かった場所は、勿論、上級者コースだ。

登る途中、ゴンドラから見た、一面に白く広がる山の景色が何とも言えずに美しかった。
両脇にある木立の上に積もった雪が、パサリと下に落ちる時、太陽の光が反射してキラキラ光る。まるで、ダイヤモンドのように見えた。
『こりゃあ、絶景だな!!』
歩夢が目を輝かせて言うと
加奈と美紀、勿論、あたしも 大きく頷いた。


そして、リフトから降りたあたし達は、まだ、靄(もや)のかかる急斜面の上に、横一列に並び、ゴーグルをおろす。
加奈が笑顔であたし達3人に

『大丈夫?』と訊いた。
あたしも歩夢も美紀も一斉に顔を見合わせると

『ちょっと、誰に向かって、訊いてんのよー!!』

と、口を尖らせた。

ストックをブスリと雪の中に差し込む。

『じゃあ、行くよ! 3、2』

初滑り恒例、加奈のカウントダウンが、3秒前から始まった。

毎年、この瞬間が一番わくわくしてたまらない。

あたしは、ストックを握る両手に力を込めた。



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