魔女のカウントダウン☆

来て欲しい…。


午後11時50分 パーティー会場の2階から、彼女の姿を探して、俺は祈っていた。

『おい、まだ姿が見えねーぞ!俺、探してくる』

雅彦が、焦ったように、階段を駆け降りて行った。

『めるは、きっと 来るよ』

美紀ちゃんが、場内を眺めながら言う。


『何の確証も無い事だ』

俺は、そう呟いたけど

視線は、ただ1人を探して
さ迷っていた。



その時


場内の照明が、一斉に消された。


ステージにスポットライトがあたり、去年同様に 白いタキシードの司会者が姿を表す。


司会者の言葉など、俺の耳には届かない。


場内が暗すぎて、めるを探せない。

俺は、階段を下り、彼女に、似た後ろ姿を見つけると、確認するように肩を叩いた。


『10!』
カウントダウンが始まったのか
人々が、声を合わせて、叫んだ。

『9!!』

まだだ! まだ、諦めない!

『8!!』

必死に彼女を探す。

『7!!』

ゲレンデの魔女
もし、貴女が本当にいるなら…

『6!!』

めるを、俺に下さい!!



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