魔女のカウントダウン☆

壁の時計を見上げた。

PM11時55分


後少しで今年が終わる。

『めるちゃん、一緒に新年を迎えよう!』


スーツ男があたしに歩み寄って来た。


会場の明かりが消され、一瞬の暗闇の後、正面ステージにスポットライトがあたる。 ーー静まる会場。
ステージの袖から、去年同様、白いタキシードに赤い蝶ネクタイの司会者が現れた。

『さあ、皆さん 後5分程で、今年も終わります。今年はどんな年でしたか?』

キーンと言うノイズの後、マイクを口元にあて、喋る司会者

会場内がざわつきだした。
『皆、あまり、いい年じゃ無かったみたいだね?』

男が、あたしの耳元で囁いた。

確か、幸也も去年、同じような事を言っていたな…と思い出した。
隣の男を見上げる。

解り切ってる事だけど、この男は幸也じゃない。

幸也はーー今頃、あの女とカウントを数える準備でもしているのかな…

そう考えると、心に鉛が落とされたように、ずしりと重くなった。

司会者が時刻の確認をしてから、マイクを上げた。
『さあーー!10秒前から、皆さん一瞬にカウントダウン、いきますよ!!』


『10!!』

司会者が大声で叫ぶ。
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