魔女のカウントダウン☆
グイグイと引っ張られる手首
人混みを掻き分けて、出口の方へと引きづられて行く。
『ちっ、ちょっと 誰!?』
会場内の薄明かりでは、あたしの手を引く誰かの後ろ姿が、確認出来なかった。
『3!!』

ドアが開き、会場内から出る瞬間、みんなが叫ぶカウントが聞こえた。

ロビーに連れ出されたあたしの視界は一気に明るくなる。

手を引く 誰かの後ろ姿がはっきりと見えた。

栗色の髪、白いセーターに、ジーンズ姿

まさか!?


『幸也!?』

悲鳴に近い声で、名前を叫んだ。


幸也は、それを無視し


エレベーター脇の柱に、あたしの身体を押しあてた。逃げ道を塞ぐように、身体を挟み、両手をダンッ!!とつく。

吊り上がった切れ長の瞳が、あたしを睨み付けた。
『!!!』

次の瞬間、何が起きたのか?目を見開いたまま、あたしの思考回路が急停止した。

ただ、唇に温かみを感じて
それが、幸也の唇の体温で
って事に、気がつくまでに数秒かかった。
幸也は塞いだ唇を離してはくれない。

『んんッ…!』

両手で、幸也の身体を引き離そうと、抵抗したが その両手は強く掴まれ、柱に張り付けのように、固定された。
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