真夜中の向日葵
「――…渚が…フェラしてくるとは思わなかったなぁ……」


「…何、嫌だった?」


「――や…凄い上手かったし……
つーか俺なんかにしてよかったわけ?」


本命の方はいーのかよ、と晶に返され、返事に詰まる。


「…いーの!どーせ向こうはあたしが誰とセックスしてたって気にも留めないんだからっ」


「あー…『幼なじみ』だっけ?」


…『幼なじみ』…ね……。


「…ずっと昔から…好き…だけど……
あたしがどんなにそう言ったって『つきあったり…そういうのとは違うから』って」


毛布を被ってふてくされる。


「―でもそいつ渚とセックスはするんでしょ?」


まぁ…あたしが拒否しないのも悪いんだけどさぁ、とため息をつく。


「――『渚に他の男ができるまでは俺が渚のこと一番に知ってたいから』だってさ」


「………ナルシスト?」


「うーん…そうとも言はなくも無い……?」


でも、と晶は続ける。


「渚はそいつのこと好きな限り断れないんでしょ?」


黙って枕を抱え込む。


本当に晶は急所を突いてくるのが巧い。


口を結んだままの渚の目元に、晶は軽いキスをしてきた。


渚は自分の目に涙が滲んでいたことにようやく気付いた。


後ろから、晶の腕が渚を毛布ごと抱きしめる。



「――好きになっちゃったもんはしょうがないもんなぁ…」


渚の頭をわしゃわしゃと撫でる。


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