真夜中の向日葵
やばい、今涙腺弱ってるのに――


慌てて言葉を繋ぐ。


「――な なんかさっ、こういうのってフツーの恋人みたいだよねっ」


「――?そう?」


晶は心底不思議そうな顔をする。


「だってホラ――セフレ?っていうか、そういう相手って
『とにかくヤれればいい』って奴もいるじゃん」


あーなるほどねー、と晶はうんうん頷く。


「そーいやよく言われるかも。
『晶って本物の彼氏みたーい』とか」


嬉しさ半分、困惑半分のような顔で晶は笑った。


「きっと―…晶はやさしいんだよね、すごく。
人の態度とか言葉に敏感で、相手が何してほしいかとかも直感で大体わかるわけでしょ」


半分問いかけながら晶の手に自分の指を絡ませる。


「セックスしてる時なんかも利己的なかんじは全然しないし、そういうのがあたしも含めて女の子は心地いいんだよ」


やだー褒めすぎーっ、と晶は女子高生のように黄色い声できゃあきゃあ笑った。


「…―んじゃ、まぁ寂しくなった時はいつでも呼んでよ。
来れない時もあるかもしんないけどできるだけ来るし」


「――…ん。…ありがと」


胸がほんわりと温かくなる。


晶といると温かくて幸せで、ずっとこうしていたくなる。



「――…晶は…なんで彼女つくんないの?」


なりたい子はいっぱいいるでしょーに……と言って、
晶がすでに寝入っていることに気付いた。


早……と半ば呆れながらも、
渚は晶の方に顔を向けると頬に触れるだけのキスをした。


…本当に…とぼんやり思う。


渚の頭にも睡魔が降りてきているのを感じた。




――晶みたいなひとが彼氏だったら……

…よかったのになぁ――……



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