伽羅子
ミシミシと音を立てて、伽羅子の喉仏が沈み込む。

気管を押し潰すくらいの気で、俺は伽羅子の首を絞めた。

しかし、あの眼は俺を見つめ続ける。

死人のような眼が、俺を凝視し続ける…!

「……!」

咄嗟に事務机の上にあったカッターナイフを掴み取る。

その刃を、何度も何度も振り下ろした。

切っ先を突き立て、刃で切り裂き。

何度も、何度も。

俺は伽羅子の白く滑らかな肌に、醜悪な傷を刻み込んだ…。




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