ペアリングを外して
見るからにギャル男。
夏なのに暑苦しいスーツを着ている。
「スカウトなんすけどぉ。キャバクラどうっすか?」
シカトして歩き続ける三村。
それでも追ってくるギャル男。
チャンスだ。
俺はギャル男から引き離すように三村の腰を引く。
そして長身を活かし、ギャル男を見下ろして威嚇した。
「あ……」
ギャル男の間抜けな声が聞こえ、俺たちから離れる。
俺がそのまま三村の手を取ろうとした時、三村から自然に腕を絡めてきた。
やった! なんて、顔には出さない。
何でもないふりをして興奮を押さえ込む。
「ありがと」
「いや、別に……」
もっともっと密着したい。
店に到着するまで、三村の腕が離れることはなかった。