ペアリングを外して

「キャバクラのスカウトって、無視してもついてくるからウザいんだよね」

 カルピスサワー片手に、不満を漏らす三村。

 そりゃあっちだって、お前みたいなキレイな女に声かけるだろうよ。

「女って大変なんだな」

「そうなの。小出がいてくれて助かっちゃった」

 ありがと、とコースターに置いたままの俺のグラスに自分のグラスを当てる。

 微笑む三村を見ると照れてしまう。

 顔が少し熱くなってしまったのは、酒のせいにしよう。

 三村の前では、カッコ付けていたいのだ。

 カルピスサワーのグラスを空けた三村は、ふと真剣な顔になった。

「ねえ、小出」

「ん?」

「迷惑じゃなかった?」

 遠慮がちに俺を見上げる三村。

 胸が騒ぎ出す。

「迷惑って、何が?」

「あたしと……その、浮気しちゃったこと」

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