ペアリングを外して
「俺も、止められなかったよ」
三村が、最初に誘った時のような艶めかしい顔で俺を見る。
「そんな顔で見るなよ。落ち着いてるふりしてるけど、これで結構一生懸命なんだから」
喰らい付きたくなるような顔から、目を逸らした。
「ごめん……あたしだって一生懸命で。小出、ビックリするくらいイイ男になってるし」
「え?」
視線を戻すと、三村は顔を真っ赤にして目を潤ませていた。
そんな顔がたまらない。
胸の奥からこみ上げてくるものを、どう処理すればいいのだろう。
「中学生のあんたが好きで、でも今のあんたはもっと好きになりそうで……ちょっと怖い」
そんなの、俺も同じなのに。
どうして三村は人の女なんだ。
あと四年くらい早く再会していれば、もっとちゃんとした形で彼女と付き合うことができただろうか。