金魚玉の壊しかた
「何なら俺にしとけよ」




甘いその囁きは

似たようなセリフを何人の女の耳元に残してきたのだろうかという、慣れた口調で紡がれていて

無論、冗談めかして口にした言葉なのだろうと私にも容易に窺い知れたが──



鼓動が鳴った。



トクン。

これまで目を逸らしてきた真実を教えるように、全身を何かが走り抜けた。



「本気で──言ってるのか?」

「……えっ?」

「円士郎殿がそう言うのならば、私は……」


驚いた様子で、彼が切れ長の瞳で私の顔を覗き込んだ。



「私は、円士郎殿の元にならば、嫁いでもいい」
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