金魚玉の壊しかた
そして同時に、頭のどこかで理解していたことを、


「鳥英」


円士郎がそのまま言葉にした。


「気づいてやれなくてすまない。だが、俺には──」

「──わかっているよ」


皆まで言わせず、苦笑する。


わかっている。


円士郎は、円士郎の──

私の知らない世界を生きている。


彼の世界はきっと、
びいどろの中にいた私とは違う、大河のような広く強い水の流れなのだろう。


そんなことを考えていたら、


「あんたは綺麗で、話してると楽しいし、時々ドキッとさせられたりするしよ。俺の正妻になってくれたら、そりゃ楽しいんだろうなと思うけど……

もしも──

俺が留玖と出会っていなければ、惚れてたと思う」


円士郎は彼らしく、キッパリとした口調で、堂々とその彼の世界を私に知らせて、


彼の口に上った名前に驚きつつも、


その断られ方で、初めて私は虹庵の気持ちがわかった。



確かに、こんな言われ方をしたら未練が残るな。

天罰だろうと思うことにした。
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