金魚玉の壊しかた
あの男の口から全てを知らされた後に振り返ってみると

既にあの男と近しく、真実を知っていた円士郎は

この時単に、私の身分のことだけを言っていたのではなかった。


雨宮家の娘だからだ。


ここには彼と私とあの男との、五年前に遡る真っ黒な因果と、一人で真実を背負っていたからこその──円士郎の優しさが潜んでいた。



しかし、それを知らない私は、
唇を噛みしめて、黙って円士郎の瞳を見つめて



ばさっ、と──

何かが地面に落ちるような音がした。


ハッとして、音の聞こえた戸口のほうを振り返って



私は冷たい水を頭から被ったような気分になった。



「……留玖──!?」

「遊水──!?」



開きっ放しになった戸口に立って、
傘を取り落とした男装の令嬢と共にこちらに視線を送っていたのは、

驚いたように見開かれた緑色の瞳だった。
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