金魚玉の壊しかた
町外れのススキ野は城下七不思議の一つにもなっている場所で、普段から人気がなく昼間でも不気味な場所だ。
七不思議では、このススキ野のどこかにこの世ならざるかくり世と繋がった涸れ井戸があり、近づけば引きずり込まれるのだとか。
この話を私にしたのは遊水で、他家の娘も同様に遊水からこの怪談を聞かされたと言っていたから、彼は金魚を売り歩きながらあちらこちらで吹聴して回っていたらしい。
こんな話を広めて何が楽しかったのか、と記憶の中の彼に少し苦笑して、
私は遊水と過ごした一年余りの日々を懐かしく思い出しながら、ススキ野に向かった。
町を外れてからの道では、誰一人擦れ違うこともなかった。
夕方のススキ野はさわさわと無数のススキが揺れる藪のみが広がっていて、確かになかなか薄気味の悪い雰囲気があった。
さて、そろそろ七ツ半だがと思いながら辺りを見回していると、
わらわらと、藪に隠れていたのか十人余りの男たちが現れて私の周囲を囲んだ。
「雨宮家の娘だな?」
どの男も浪人風で、腰に刀を帯びている。
私は背に緊張が走るのを感じながら、
「そうだ」
と答えた。
「雨宮の失脚の真相とは何だ?」
懐にある懐剣を確かめながら、浪人たちを睨んで問うと、
「さて。知らねえなァ」
男たちは一様にニヤニヤした笑いを浮かべたままそう言った。
七不思議では、このススキ野のどこかにこの世ならざるかくり世と繋がった涸れ井戸があり、近づけば引きずり込まれるのだとか。
この話を私にしたのは遊水で、他家の娘も同様に遊水からこの怪談を聞かされたと言っていたから、彼は金魚を売り歩きながらあちらこちらで吹聴して回っていたらしい。
こんな話を広めて何が楽しかったのか、と記憶の中の彼に少し苦笑して、
私は遊水と過ごした一年余りの日々を懐かしく思い出しながら、ススキ野に向かった。
町を外れてからの道では、誰一人擦れ違うこともなかった。
夕方のススキ野はさわさわと無数のススキが揺れる藪のみが広がっていて、確かになかなか薄気味の悪い雰囲気があった。
さて、そろそろ七ツ半だがと思いながら辺りを見回していると、
わらわらと、藪に隠れていたのか十人余りの男たちが現れて私の周囲を囲んだ。
「雨宮家の娘だな?」
どの男も浪人風で、腰に刀を帯びている。
私は背に緊張が走るのを感じながら、
「そうだ」
と答えた。
「雨宮の失脚の真相とは何だ?」
懐にある懐剣を確かめながら、浪人たちを睨んで問うと、
「さて。知らねえなァ」
男たちは一様にニヤニヤした笑いを浮かべたままそう言った。