金魚玉の壊しかた
じりじりとにやけた顔のまま近寄ってくる男たちを眺めて、小さく舌打ちして自分の浅はかさを呪った。

やはり──罠か。

「誰の差し金だ? 雨宮家への恨みか?」


それとも──


「伊羽家への恨みか?」


落ちぶれた雨宮家に何かあると考えるよりは、こちらのほうが可能性が高い。

若くして実権を握った伊羽青文の周りには、うちの父にしてもそうだったし、当然、疎ましく思っている連中や敵も多いだろう。

うかつだった。

こんな最後の最後で──


あんな文句に踊らされるとは。


「さあねえ」

浪人たちははニヤニヤ笑いを崩さない。

「俺たちは、あんたとたっぷり楽しんで来いって言われてるだけでね」


私を辱めるのが目的なのか?


屈強な男十余人を相手に、こちらは女一人。

これは──さすがに勝ち目はない。


「寄るな」

私は懐剣を抜き放って、自分の喉に押し当てた。


「へえ? 自害するかい? 別にいいぜ」

男たちはそれでもニヤニヤしたままだ。

「何だと?」

「こんな上玉を死なせるのはもったいねえが、それならそれで構わねえと言われてる」


私はうろたえた。


どういうことだ?

いったい誰が、こんな──
< 159 / 250 >

この作品をシェア

pagetop