金魚玉の壊しかた
声に続いて、刀を抜き放った若い侍が三人、走り込んできた。
「盗賊改めだ! 抵抗する者はこの場で斬り捨てる!」
結城円士郎だった。
彼が、今月から、凶悪な事件の捕縛に当たる番方の仕事として、新しく城下に置かれた組織の役目に就いたと言っていたのを思い出した。
役人と知って、男たちが慌てて逃げようとするところを、円士郎が峰打ちにし、
もう一人の小柄な侍は──逃げる浪人を躊躇無くその場で斬り捨てた。
血がしぶき、浪人がその場に崩れ落ちる。
手元で何かが翻ったようにしか見えない、達人技だった。
「留玖! 殺すな!」
と、円士郎が少し慌てた様子でその小柄な侍に声をかけ、私はそれが少女であり──結城のおつるぎ様であることを知った。
「いえ、私の峰打ちは力が足りないので、逃げる者は刃のほうで斬ります!」
おつるぎ様は可愛らしい声で、さらりと恐ろしい宣言をして、走っていく浪人に追いすがった。
ひらひらと黒い髪と男物の着物が舞って、殺伐とした斬り合いだというのに、私の目には何故なのか──あたかも子供が楽しそうに走り回って遊んでいるように映った。
飛び込んできた三人のうちもう一人の、狐か猫のような印象の、ツンとした面立ちの若侍が私と遊水のほうに近寄ってきて、
「ご無事ですか」と私に声をかけた。
「円士郎様の下役、盗賊改め方の秋山隼人です」
年の頃なら、私より一つか二つ上というところだろうか。
下役といっても円士郎よりは当然年上に見える若者はそう名乗って、周囲に転がった浪人たちを見回し、目を丸くした。
「これ、一人で?」
秋山という若者は、棒を構えた遊水と、彼にやられた人数とを見比べて頬を引きつらせた。
それから浪人たちの間に屈み込み、「六人を全部一撃かよ。とんでもねえな……」と呟いた。
「これって……」
倒れた浪人を調べていた細い目が、物言いたげに遊水を見上げた。
「盗賊改めだ! 抵抗する者はこの場で斬り捨てる!」
結城円士郎だった。
彼が、今月から、凶悪な事件の捕縛に当たる番方の仕事として、新しく城下に置かれた組織の役目に就いたと言っていたのを思い出した。
役人と知って、男たちが慌てて逃げようとするところを、円士郎が峰打ちにし、
もう一人の小柄な侍は──逃げる浪人を躊躇無くその場で斬り捨てた。
血がしぶき、浪人がその場に崩れ落ちる。
手元で何かが翻ったようにしか見えない、達人技だった。
「留玖! 殺すな!」
と、円士郎が少し慌てた様子でその小柄な侍に声をかけ、私はそれが少女であり──結城のおつるぎ様であることを知った。
「いえ、私の峰打ちは力が足りないので、逃げる者は刃のほうで斬ります!」
おつるぎ様は可愛らしい声で、さらりと恐ろしい宣言をして、走っていく浪人に追いすがった。
ひらひらと黒い髪と男物の着物が舞って、殺伐とした斬り合いだというのに、私の目には何故なのか──あたかも子供が楽しそうに走り回って遊んでいるように映った。
飛び込んできた三人のうちもう一人の、狐か猫のような印象の、ツンとした面立ちの若侍が私と遊水のほうに近寄ってきて、
「ご無事ですか」と私に声をかけた。
「円士郎様の下役、盗賊改め方の秋山隼人です」
年の頃なら、私より一つか二つ上というところだろうか。
下役といっても円士郎よりは当然年上に見える若者はそう名乗って、周囲に転がった浪人たちを見回し、目を丸くした。
「これ、一人で?」
秋山という若者は、棒を構えた遊水と、彼にやられた人数とを見比べて頬を引きつらせた。
それから浪人たちの間に屈み込み、「六人を全部一撃かよ。とんでもねえな……」と呟いた。
「これって……」
倒れた浪人を調べていた細い目が、物言いたげに遊水を見上げた。