金魚玉の壊しかた
「そんな怪しい手紙に乗せられんなよ」

円士郎が顔をしかめた。

「すまない。どうしても、気になってしまって……」

私が項垂れてそう言うと、円士郎と遊水がほんのわずかな瞬間、さっと視線を交わし合った。

気持ちはわかるけどよ、と円士郎は気まずそうな口調で私に言って、それから遊水に向かって

「こいつらはどうする?」

と、捕まえた浪人たちを顎で示した。

どうするもこうするも、盗賊改め方なのは円士郎なのだから、遊水に訊くようなことではない気がしたのだが……

「拷問にかけて誰に頼まれたか吐かせろ」

そんな円士郎に対し、遊水は初めて私が見る冷たい瞳のままで言った。

「五人もいるんだ。途中で四人死んでも一人が吐けばそれでいい」

背筋が冷たくなるようなセリフだった。

円士郎は嫌そうな顔になったが、

「なら、こういうことにも通じてそうだし、宗助にでもやらせるか」

と頷いた。

「ってワケでてめえら、死にたくなかったらとっとと吐いたほうが身のためだぜ」

お縄にした浪人の肩を叩いてそう言う円士郎を眺めながら、私は今のやり取りに何か腑に落ちない奇妙なものを感じていた。

「は。こんな大勢で女を襲おうとするなんて、同情の余地はねーな」

秋山が鼻を鳴らし、「さあてお前ら、キリキリ歩こうか」と言って、お縄にした男たちを引っ張って行った。

こいつらは後で人を呼んで運ばせるかと円士郎は昏倒した者に視線を投げ、
チラと私と遊水を見て、「留玖」と言っておつるぎ様を連れてその場を離れた。
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