金魚玉の壊しかた
不覚にも、離れたくないと思ってしまった。

このままでいられたらどんなにいいだろうと。


さわさわ、とススキ野が風に揺れて音を立てた。


流されそうになる己を必死に引き戻して、私は急いで遊水から離れた。

「私は……」

やっぱり優しい目をしたままで私を見つめる遊水に、私は喘ぐようにして伝えた。

「明日、嫁ぐのだ」

「……知ってる」

遊水はそう言ったきり、じっと私に緑色の瞳を向けて黙って、

やがて、

「これで、最後だ」

と言った。

「もう、俺は──遊水という名の男は、二度と亜鳥の前には現れない」

どくん、と胸が震えた。

「悪かったな。最後にこんな……
亜鳥が遊水と会うことはもう二度とないから──」

遊水は、酷く苦しそうに、切なそうに、
けれど何か固い決意を宿した様子で、私に言った。

「──だから、亜鳥は迷うな」

「もう、二度と……?」

「ああ。お別れだ」
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