金魚玉の壊しかた
私は唇を噛んで、言葉を探して、


「話は終わったか?」

しかし私がそれを見つけ出す前に、円士郎とおつるぎ様が戻ってきた。

「ああ、終わった」

遊水がそう言って、円士郎は私の様子を窺った。

「俺はこの場を仕切らなきゃならねえ。遊水、彼女を屋敷まで送ってやってくれ」

私に気を遣ってくれたのか、円士郎はそんな提案をしてくれたのだが、

「いや」

遊水は軽く笑って、それを断った。

「おつるぎ様、お願いしますよ」

ぼう然となる私の顔を覗き込んで、おつるぎ様が「いいんですか」と遊水に尋ね、彼が頷いた。


おつるぎ様は私と遊水を交互に見て、私の顔色を気にしながらも、行きましょうと促した。


「じゃあな、亜鳥」


夕闇に沈むススキ野に佇んで微笑む彼を瞳に焼きつけて、


「遊水」


私は口にした。


「最後に……最後に、幸せになれとは言ってくれないのか? 私はあなたのその言葉があれば、きっと……」


幸せになってみせる、と私はそう言うつもりだったのだろうか。


しかし遊水は静かに首を横に振った。
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