金魚玉の壊しかた
私の手から、覆面頭巾が落ちて、畳の上でぱさりと音を立てた。


「遊水……どういうことだ? どうして、あなたが──」



「遊水ではない」



混乱することしかできない私を翠玉の双眸に映して、彼はゆっくり頭(かぶり)を振った。



「遊水という名の男は、初めから存在していなかったのだ、亜鳥」



前に結城家の屋敷でも口にした言葉を、白い唇は繰り返して、



そして告げた。






「私が、伊羽青文だ」







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